#ホタバン 10周年記念アルバム【SING A LONG】本日リリース!
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【ライター上野三樹さんによるスペシャルライナーノーツが届きました】
「僕、今度新しいバンドを始めたんです!」と藤田くんが嬉しそうにホタルライトヒルズバンドという名前を教えてくれてから、もう10年が経ったのか。
どこかファンタジックなこのバンド名にワクワクしながら聴かせてもらったら、まるで蛍ヶ丘という町から届けられる手紙のような、優しくて楽しいポップソングたちが心地良く鳴らされていた。
バンド結成当初から2018年に新体制になるまでは男女ボーカル編成だったことを考えても、出会いと別れと紆余曲折、様々な環境の変化も経験しながら、藤田リュウジ(Vo/Key/G)、小野田尚史(Dr)、小倉大輔(B)、徳田直之(G)の4人で千葉県の柏市を拠点に活動を続けてきた。
そんなホタバンの10年の節目となるアルバム『SING A LONG』は、ここまでコンスタントに歴史を追ってきたはずの筆者でさえ進化に驚いて「えっと、私何か飛ばしてる?聴いてない作品あったっけ?」と焦るほどだった。
もちろん全部追ってきてるのだがこのアルバムを1曲1曲、聴いていくほどに、全く言葉を選ばずに出てきた感想は「ホタバンズルい!こんなに何でもできてズルい!」。
しかし何もズルいなんてことはなくて(笑)、彼らがこの10年、ひたすら向き合ってきたバンドと音楽に対する情熱が、このバラエティ豊かで極上のポップソングが並ぶ珠玉の1枚を生み落としたってことにすぎない。
1曲目は輝かしいギターリフが印象的な「ラブソングス」。〈ドレミファ空 しあわせは〉という発明的フレーズを盛り込みながら、藤田は10代の頃から歌いたくてもがいてきた「愛」というものを、真正面から歌っている。
まるで音楽にはそれを歌う使命があるんだと言わんばかりの確信めいた朗らかさがメロディにキラキラと乗っている。
そして2曲目は昨年10月〜11月にNHK「みんなのうた」で放送された「金魚のジョン」。
ユニークな物語性のある歌詞、軽快なリズムと様々な音が入って楽しいアレンジは、今のホタバンだからこそ表現できたものだとも言えるし、「みんなのうた」とホタバンなんてそりゃ相性良いよなあと唸らずにはいられない。
かと思いきや、3曲目の「Sunny Sunset Music」はヒップホップ調にクールに朗らかにキメてくるのである。
ここまででもう何回目かの「ズルい!」を嬉しい高揚感と共に心で叫んでいるのだが、hunch(from HAND DRIP)のラップも加わって更に追い討ちをかける。
かと思いきやーーも繰り返しの接続詞になっちゃってるけど言わせてもらうーーかと思いきや!4曲目の「またね」はガラリとムードを変えてアコースティックギターの音色でフォーキーに。
むしろホタバンの原点ここだったじゃないか、というただいま感さえも新鮮に届ける展開。
インストの「biotope」を挟み、新体制になってからのバンドサウンドの熱気が骨太に放たれる「ダンデライオンの夜に」。
ライブでも盛り上がりそうなエネルギッシュなナンバーも完成度が高く、明確なイメージで4人が音を鳴らせているのが伝わってくる。
バラエティ豊かな曲たちの並びに、ただひたすら1曲1曲に対して真摯に向き合い、「音楽」として輝く可能性を最大限まで生かしきろうとする姿勢を感じた。
それが10年このバンドをやってきた今のホタバンの現在地。彼らのとても純粋でタフなミュージシャンシップに賞賛を送りたい。
何より、アルバムのラストに収録された「希望」だ。
この曲に対して、私はどんな言葉を綴れば良いのだろうか。
きっと藤田くんは命を生み出すのと同じような気持ちでこの曲を書いたんじゃないかと思う。
不安でいっぱいのこの時代に、「希望」を歌うために音楽があるんだと、そうじゃなきゃ音楽をやってる意味なんかあるだろうかと、彼は考えたんじゃないかな。
〈太陽いっぱいに照らせなくたっていいよ/同じ影の中にいたい〉と歌ってくれたことで頼もしい気持ちになった。
そうだ私たちは、決して弱くない。
どんな時代にあっても、人は誰かを想って歌を唄うことができるんだ。
最後に届けられた「希望」まで、この集大成的なアルバムに込められた10周年のホタバンを丸ごと受け取ってください。
そして『SINGA LONG』――これからも、ずっと一緒に。
(上野三樹)